新型ハスラーはジムニー・ジムニーシエラの後継車？スズキが狙う納期問題は解消なるか？

スズキは2019年12月24日、フルモデルチェンジした新型ハスラーを発売しました。実は今回の全面リニューアルしたハスラーの投入には、スズキが抱えるジムニー・ジムニーシエラの納期問題解消の狙いがあるとみられています。はたして、狙い通りに行くのでしょうか？

新型ハスラーとは？

出典：カーギーク

アウトドア派の車好きたちの間で大人気を博した初代ハスラー。

新たな価値観を生み出したとまで評されたその先代モデルから6年の時を経て、満を持して投入されたのが今回の新型ハスラーです。

ジムニー・ジムニーシエラの納期問題

出典：スズキ

新型ハスラーの投入に際して、避けて通れない話題が「ジムニー・ジムニーシエラの納期問題」です。

新型（4代目）ジムニーとジムニーシエラが発売されたのは2018年7月5日。

すでに1年半が経過しているにもかかわらず、その人気はとどまるところを知りません。

2019年後半の段階で問い合わせに対するディーラーの回答は、納期はなんと「2020年末から2021年」。

スズキは増産を発表しており、さらに工場もフル稼働させて対応しているにもかかわらずこの状態。

それもひとえにジムニー・ジムニーシエラの人気の高さ故ですが、ユーザーの間では「納期問題」として取り上げられているのが現状であり、スズキとしては大きな悩みとなっているのです。

新型ハスラーとジムニー・ジムニーシエラを比較

出典：MOTA

そんなジムニー・ジムニーシエラの納期問題を一気に解消する狙いを持って投入されたとみられる、今回のフルモデルチェンジ「ハスラー」。

では、ジムニー・ジムニーシエラと新型ハスラーはどれくらい似ているのでしょうか？

また、どれくらい違いがあるのでしょうか？

新型ハスラーがジムニー・ジムニーシエラの代替車となれる可能性があるかどうかに焦点を絞り見ていきたいと思います。

概要

ハスラーは軽クロスオーバーSUV。

一方のジムニー・ジムニーシエラは軽の本格四駆。

このように性格は若干異なるものの、一般的にはライバル関係にあると受け止められているようです。

外観

新型ハスラーは一目見たところ、初代モデルと大きく変わっていないのではないかとの印象を受ける人も多いと思います。

ただ、よく見ると新型はよりスクエアになり、初代と比べ強靭さが一気に増しました感があります。

一方のジムニーも先代に比べスタイルが一気にスクエアになったことで、より強靭さが生まれたという経緯があります。

スズキがハスラーをジムニーに寄せてきているというところはこういった点からも読み取れます。

しかしジムニーは2ドアでタイヤは16インチ、新型ハスラーは4ドアでタイヤは15インチ。

見た目の強靭さに差が出るのは致し方のないところではありますが、それでも、強靭さやタフさという観点では、ジムニーと新型ハスラーは互角といえそうです。

構造

ジムニーが伝統のラダーフレームを採用し続けているのに対し、新型ハスラーはモノコックボディを採用。

ご存じの通り、ジムニーの悪路走破性の高さはラダーフレームによるところが大です。

また、シャシーとボディが別構造であるラダーフレームは衝突安全性が非常に高く、これが軽自動車の中でジムニーに断トツの衝突安全性の高さをもたらしています。

これらの点からは、ジムニーの方に選ぶメリットありといえるでしょう。

インテリア

新型ハスラーのインテリアは、一言でいうと「遊び心」を優先したデザインとなっています。

対するジムニーのインテリアは「質実剛健」という言葉がぴったりとくるような機能美にあふれています。

ことインテリアに関しては対照的なコンセプトとなっているようで、ジムニー好きのユーザーにとっては「新型ハスラーには強さが感じられない」のではないでしょうか。

乗り心地

先代ハスラーは実はその乗り心地が最大の弱点とされていました。

特に路面からくる振動がダイレクトに体に響き、それは後部座席で特に強くストレスとなっていました。

その弱点は、スズキによると大幅に改善されたそうで、サスペンションの改良が功を奏したようです。

さらに乗り心地に加えハンドリングも大幅に改善。

一方のジムニー・ジムニーシエラも高速道路での操縦の安定性が大幅に改善しており、これらの点に関しては互角といってもいいように思われます。

総合評価

燃費性能の大幅なアップが実現した新型ハスラーは、ジムニー・ジムニーシエラを燃費において大きくしのぎます。

こういった観点も加味すると、新型ハスラーはジムニー・ジムニーシエラの代替車として十分といえるのかもしれません。

ジムニー・ジムニーシエラの納期問題はハスラーが解決するか？

総合的には互角といってもよいジムニー・ジムニーシエラと新型ハスラー。

しかし、スズキの狙いが「ジムニー・ジムニーシエラの納期問題」であるとするならば、ターゲットとなるのはコアなジムニーファンであるといえます。

コアなジムニーファンが求めるのはあくまでも「質実剛健」なジムニーのスペックとイメージであると思われます。

そういったものを求める層が、ジムニー・ジムニーシエラをあきらめて新型ハスラーに乗り換えるかと問われればはなはだ疑問であると言わざるを得ないのではないでしょうか。

スズキが狙う「ジムニー・ジムニーシエラの納期問題」は新型ハスラーの投入でも解決しないのではないか。

筆者はそう考えます。

まとめ

スズキが満を持して投入する新型ハスラー。そのスペックは十分高機能であるため人気を呼ぶでしょう。しかし、スズキの狙いであると思われる「ジムニー・ジムニーシエラの納期問題」の解消はそれとは別次元の問題なのではないでしょうか？納期問題の根源にあるのはジムニーそのものの人気の高さです。ジムニーの納期問題を解決することができるのはジムニー以外にないといえるでしょう。